会社のビジョンが明確になり、社内に浸透していったら、いよいよそれを実現していきます。RMPは「ビジョンPJT」発足から4年目となる昨年、新たに「OneRMP PJT」を立ち上げ、「シェアド・リビジョン2016」というイベントを実施しました。テーマは「事業・職種・立場を超えた関係の質を高める」。
関係の質を高めるためにまず大事なのは、関係性のレベルを見極めること。桑原さんは「関係性のレベルには段階があり、順を追ってレベルを上げる必要がある。一足飛びには関係性のレベルを上げることができない。挨拶も会話もないレベルから、いきなり協働をするレベルに一足飛びにいくのは難易度が高いですし、無理やりそのような場にしても緊張度が高いのでうまくいきません」といいます。
全従業員1300名が参加し、全国12カ所で同時開催されたこのイベントは、どの会場も顔と名前が一致する人が数人会場にいるという程度。そのため、まずは「いかに緊張を解いてお互いを知るところまでいけるかがポイントなので、アイスブレイクに時間をかけた」そうです。
「シェアドリビジョン2016」でまず行われたのはチェックイン。四人一組のチームを作ったら、それぞれが「今の正直な気持ち」や「気になっていること」を1分程度で話します。無理に笑わせたり、盛り上げたりする必要はありません。素直な発言によって「お互いの背景を理解し合い、相手をありのままに受容しやすくする」のが目的です。
桑原さんによると「会場自体の雰囲気も含めて、否定や批判などの攻撃性を排除した“安心・安全な場づくり”を心掛けている」とのこと。聞き手は人の発言に質問したり、突っ込んだりするのは一切禁止なので、話し手は正しいことを言わなければならない、というプレッシャーもないそうです。
四人一組でチームを作り、ファシリテーターの進行に従って話し合いを進めていく
続いて「マシュマロチャレンジ」に取り組みます。これは、マシュマロ、パスタ、マスキングテープなど、与えられた材料のみで自立するタワーを作り、チームで高さを競うというゲーム。チームは部署や役職などがバラバラのメンバーで構成されていますが、競争の要素を取り入れることで、そういった垣根を越えて、楽しみながら自然にコミュニケーションが取れるようになるそうです。
ファシリテーション(進行)のポイント
そもそもこういったイベントを行うのに慣れていない場合、ファシリテーションをどうすればよいのか不安に感じる読者も多いはず。桑原さんにアドバイスを求めたところ、「進行用のパワーポイントづくりにこだわりました。
誰がファシリテーターをやっても場が壊れず、ことが進むように、“それさえ読めば進められる”という一言一句までこだわった資料を事前に作成しました」とのこと。「OneRMP PJT」では約60ページにも及ぶ資料を桑原さんが作成。
例えばマシュマロチャレンジの場合、「どんなゲームなのか」や「利用できるアイテムは何か」「どんなルールがあるのか」、必要な情報がコンパクトにまとめて書かれており、ファシリテーターは順を追って読み上げるだけで場を進められるようになっています。実際、ファシリテーターはPJTの若手メンバー主体で行われ、初めてファシリテーションを行うメンバーも多くいましたが、うまく進んだといいます。
また、「ファシリテーションは練習も大事」とのこと。ファシリテーターが緊張しすぎたり自信がなかったりするとうまく進行ができないので、イベントの一カ月半ほど前からとにかく練習を重ね、地方にいるPJTメンバーへはテレビ会議を使ってレクチャーすることもあったそうです。
「練習を重ねることで、“この会が上手くいってほしい”という想いが自然と強まっていくので、メンバーには必ず繰り返し練習するように促しました」。
シェアド・リビジョンのような参加者の主体性を重んじる場をファシリテーションをする際に大事だと桑原さんが考えているのが、ファシリテーターが主導権を持たないこと。その場にいる一人ひとりの主体性を開放するため、「良い悪いというジャッジメントをしない」「アドバイスや余計な指示は出さない」ように努めています。
さらに「自分は良い意見が言えないのでは、的外れの意見なのでは、といった先入観を持たないような場づくりを心掛けています」と桑原さんは想いを熱く語ります。
「例えば、若いメンバーは“自分の意見なんて”と思っていることも多いですが、私が思ってもいないような意見を出してくれる。最初は粗いアイディアかもしれないが何かと組み合わせることですごく良いものになったりすると感じています」。若手ならではの視点がプラスに働くことも多いことを指摘してくださいました。
「マシュマロチャレンジ」が終わったら次は「ストーリーテリング」のセッション。ストーリーテラー(語り手)が20分間、その人自身の物語を話します。
ここで大事なのは、参加者は普段のプレゼンのようにただ聞いているのではなく、キーワードやポイントなどを「ストーリーテリング・メモ」と呼ばれるメモに記入しておき、その後、四人一組のチームに戻ったら、自分の言葉で語り直し(リストーリー)をするということ。
これにより、同じ人の話を聞いていてもそれぞれ受け取る部分が違うので、「人ってみんな違うんだみたいな当たり前か、何を大事にしているのか、どんな風に働きたいのか・・・などだんだんと自分は何者なんだろうという探求が始まります」と桑原さん。その後のアイディアソンにいい流れでつながるそうです。
なお、ストーリーテラーに誰を選ぶのか?を考える際にもポスト・イット® 強粘着ノートが役立っているとのこと。事前にファシリテーターとなるPJTメンバーに「まずはそのイベントが終わったときに、どういう状態になっていたいのか、どういう状態を作りたいのかを書き出してもらっています」。ポスト・イット® 強粘着ノートに書き出すことで実現したい状態をはっきりと認識することができ、より適切な人選ができるというわけです。
ストーリーテリングはその人の思いを話してもらうことに重点を置いており、リラックスした雰囲気で行われる
すぐにアイディア出し会議が始められます
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