デザインプロセスを活用し、企業の事業開発を成功に導くコンセント その現場でポスト・イット® 製品を積極的に活用している理由とは

デザインプロセスを活用し、企業の事業開発を成功に導くコンセント
その現場でポスト・イット® 製品を積極的に活用している理由とは

デザインプロセスを活用し、企業の事業開発を成功に導くコンセント
その現場でポスト・イット® 製品を積極的に活用している理由とは

株式会社コンセントは、創業1971年、社員数が約200名にも及ぶ国内最大規模のデザイン会社。雑誌やWebサイト、書籍など数多くの著名なコミュニケーションツールのデザインを手がけていることで知られています。
そのコンセントでは、約5年前からサービスデザイン事業部を立ち上げ、コミュニケーションツールのデザインにとどまらず、デザインプロセスを活用した企業の事業開発支援なども積極的に展開しています。
すでに多くの実績を上げている事業開発支援はどのように進めているのか。代表取締役社長でインフォメーションアーキテクトの長谷川 敦士さん、サービスデザイン事業部の小山田 那由他さん、佐藤 史さんに詳しくお話を伺いました。
 

  • 情報の視覚化が事業開発のスピードを加速させる

    株式会社コンセント 代表取締役社長の長谷川さん(中央)、サービスデザイン事業部の佐藤さん(左)、小山田さん(右)

  • いかに顧客の文脈に寄り添う価値を提案できるか。デザインのベースにあるのは、"顧客の体験"

    「私たちは"デザインで、世に寄与するものを作っていく"ということを、ずっとやってきました」という長谷川さん。デザインというとビジュアル的な側面ばかりが注目されがちですが、そもそもコンセントでは、受け手の体験をベースに"情報のデザインをする"という視点で、"きちんと伝わること"の価値を最大化するために長年事業を行っています。

    「顧客の価値観が多様化し、顧客の文脈にいかに沿うかが事業の成功の可否につながる現代では、個々の製品やサービスをあくまで構成要素の一つとして捉え、顧客に提案する体験価値全体に基づき事業設計を行う"サービスデザイン"に企業も注目するようになってきています。
    コンセントでは国内でのサービスデザインへの関心が高まる以前から専門部署となるサービスデザイン事業部を立ち上げ、企業や行政のサービス・事業開発の支援に取り組んでいます」(長谷川さん)。

    では、同事業部では実際にどのように企業や行政を支援しているのでしょうか。クライアントとチームを組み、新しいサービスや事業を次々と生み出し成功に導いているその手法は、デザイナーだけでなく、多くのビジネスマンにとっても大いに役立つはず。今回は同社が取り組んでいる数々の手法の中から、ポスト・イット® 製品をいかに活用しているかという観点で、その一部をご紹介します。

  • 情報の視覚化が事業開発のスピードを加速させる

    デザインプロセスを効率的に進めるにはコツがあります。例えば、事業開発のプロジェクトを進める際、誰かが見取り図を描いてそれをブレイクダウンしたものを分担していくという従来のピラミッド構造の進め方ではなく、「必要なメンバーが集まって全員でビジョンを共有し、やることをブレイクダウンしたものを各自が解釈して持ち帰りそれをまた組み合わせる、この作業をクライアントと我々が一緒になって繰り返す」(長谷川さん)と言います。

    そこで使われる手法の一つがポスト・イット® 強粘着ノートを大量に使い、部屋に情報を貼り出すというもの。情報を手早く視覚化できるため、ドキュメンテーションなどの中間成果物に時間を割くことが効率的ではないと考えられる場合や、クライアントも含む大勢のメンバーに手早く検討過程や情報を共有する場合に有効というわけです。

    また、「調査のリサーチ結果をビデオで見て、全員でそこから得られた洞察を、すぐにポスト・イット® 強粘着ノートに書き出してそれをグルーピングすれば、その結果が調査のサマリーになる」(佐藤さん)といった使い方も。こういったスピード感で進められるのは、ポスト・イット® 強粘着ノートを活用した手法ならではと言えそうです。
     

  • 株式会社コンセントではビジュアルで可視化しながらプロジェクトを進行している

    コンセントではビジュアルで可視化しながらプロジェクトを進行している

  • 株式会社コンセント 代表取締役社長の長谷川さん

    後述する事業開発における3ステップのフレームワークを、普段から活用しているという長谷川さん。
    ポスト・イット® イーゼルパッドを使いながら説明している。

事業開発のアプローチに用いているサービスデザインのフレームワーク

コンセントでは企業の事業開発を支援する際、構造化シナリオ手法をベースに開発した以下の3ステップのフレームワークを用いて問題の切り分けを行い、課題解決を図っています。
1,サービス戦略:サービス・事業戦略を策定する
2,アクティビティデザイン:どのような顧客体験で価値を提案するかを考える
3,インタラクションデザイン:個別のタッチポイントをデザインする

事業開発のアプローチに用いているサービスデザインのフレームワーク

<参考>
株式会社コンセント「企業がカスタマーエクスペリエンス向上に注力すべき理由」
https://www.concentinc.jp/labs/2015/01/why-customer-experience/

1. サービス戦略:サービス・事業戦略を策定する

  • 【ポイント】ユーザー価値とビジネス価値の双方から検討する

    サービス戦略とは、一番上流の事業戦略を策定する段階です。そもそも、始めようとしている事業はどのような価値があるのか、顧客にどのような価値を提案しようとしているのか、調査、観察を行っていく中でサービスを定義していきます。

    「このステップは、サービス価値を探索する段階なので、顧客は自身で認識していないニーズや理由を直接聞かれても語れない。だからこそ具体的なテーマを設定したりせず、行動自体を観察することが大事です。その中で発見的な事象や何か気づきになりそうなものを、メンバーで集まってポスト・イット® 強粘着ノートに書き出す」(佐藤さん)。

    書き出す際のポイントは、「太いペンで、シンプルに書いてもらうこと。ペンの色も決めておくと、後から誰が書いたかトラッキングできて便利」(長谷川さん)。それらをホワイトボードなどにすべて貼り出したら、関係性が近い、遠いなどグルーピングを行います。

    「ここで大事なのは、貼り出すだけではなく、構造化したり解釈したりすること。貼り出すだけだと自己満足やセラピー的な効果で終わってしまう」(長谷川さん)。サービス戦略のフェーズでは、このようにポスト・イット® 強粘着ノートでアウトプットを作るプロセスを繰り返し、それをもとに事業の価値や顧客に提案する価値を決定します。
     

  • 株式会社コンセント サービスデザイン事業部の佐藤さん

    「1回のワークショップで貼り出されるポスト・イット® 強粘着ノートが100や200といった数になるのも珍しくない」と語る佐藤さん

定性的な情報を分析するテクニック


ポスト・イット® 強粘着ノートによってたくさんの情報を視覚化したら、どのようにそれらを分析すればよいのか。長谷川さんによると「自明な仲間同士を寄せ集めて並び替えるだけの"グルーピング"では不十分で、新しいコンセプトの発見にも繋がらない」と言います。

そこで、コンセントで使われる手法の一つが「親和図法」と呼ばれるもの。「親和図法」とは、雑多な情報の集まりの中から軸や構造・関係性を発見して図解化するための手法です。

例えば、動物の名前をたくさん集めた場合、「大きさ順」や「祖先はどんな動物」など、並び替える際には色々な軸が考えられます。「コンセプトの発見や創出につながる軸を見出せるかが、定性的な情報を分析する際には重要。その際、関係性を視覚化し、位置の並び替えもすぐにできるポスト・イット® 強粘着ノートが役立ちます」(長谷川さん)。

また、「大量に出たアイディアはさらにブラッシュアップが必要。軸は自明で浮かび上がってくるものではなく、見つけ出さないといけない」と小山田さん。ですが、一般的にはまだまだ単なる並び替えで終わっているケースは多いそうです。
 

  • 定性的な情報を分析するテクニック

    単に仲間同士をグルーピングするのではなく、新しい軸を見出すことを意識しながら情報を分析し、適切なアイディアを絞り込んでいく

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